
『金持ち父さん 貧乏父さん』という本は、世の中で最も誤解されているビジネス書の一つかもしれない。
ネットでこの本の感想を見ると、
「株を買えという本」
「不動産投資を勧める本」
「ネットワークビジネスの人が勧める本」
そんな意見をよく見かける。
しかし、実際に本を読んでみると、それらは本質ではないことが分かる。
この本が伝えたいことは非常にシンプルだ。
「一生お金のために働き続けるのではなく、お金を生み出す資産を作り、お金に働いてもらう考え方を学ぶこと」
これが本書の中心にある考え方だ。
株でもない。
不動産でもない。
ネットワークビジネスでもない。
まず最初に変えるべきは、お金との向き合い方なのである。
私はこの本を事業家集団にいた頃に読んだ。
当時は先輩から勧められて手に取ったため、
「その本って勧誘のための本でしょ?」
と言われたこともあった。
しかし、それは明確に違う。
本書のどこを読んでも、
「ネットワークビジネスをやりなさい」
とは書いていない。
「人を勧誘しなさい」
とも書いていない。
「組織を作って会員を増やしなさい」
とも書いていない。
むしろ著者が伝えているのは、
給料だけに依存する人生のリスクや、お金に対する無知の危険性だ。
だから本来、この本を読んだ後に選ぶ手段は人によって違う。
起業する人もいる。
副業を始める人もいる。
不動産投資を学ぶ人もいる。
株式投資を始める人もいる。
資格取得に挑戦する人もいる。
本書は手段を限定していない。
だからこそ世界中で読まれているのだと思う。
私が違和感を覚えるのは、この本を読んだ後、
「だから新NISAでインデックス投資を始めよう」
という結論だけに行き着いてしまう人がいることだ。
もちろん投資は素晴らしい。
私自身も長期投資を否定するつもりは全くない。
しかし現実は、そんなに簡単ではない。
例えば、
毎月3万円を20年間積み立てる。
理論上はできそうに見える。
しかし実際には途中で辞める人が圧倒的に多い。
暴落した時。
仕事が忙しくなった時。
転職した時。
結婚した時。
子どもが生まれた時。
住宅ローンを組んだ時。
人生には様々なイベントが起きる。
そしてそのたびに人は迷う。
お金を使いたくなる。
不安になる。
目先の利益を優先したくなる。
つまり問題は投資知識ではない。
継続なのだ。
『金持ち父さん 貧乏父さん』をよく読むと分かる。
著者は単に投資商品の話をしているわけではない。
恐怖や欲望に支配されないこと。
学び続けること。
行動すること。
失敗から学ぶこと。
金融知識を身につけること。
こうしたマインドセットの重要性を何度も語っている。
つまり著者自身が、
「投資はメンタルゲームである」
ことを理解しているのだ。
だから私は、
いきなり株式投資から始めるよりも、まずはビジネスを学ぶ方が良いと思っている。
ビジネスには人間力が必要になる。
営業力。
コミュニケーション力。
継続力。
問題解決能力。
行動力。
人との信頼関係を作る力。
断られても前を向く力。
こうした能力は株を買うだけでは身につかない。
しかし、どんな資産形成をするにしても必ず必要になる。
なぜなら最終的に投資するお金を生み出すのは、自分自身だからだ。
稼ぐ力がなければ投資資金も作れない。
継続する力がなければ資産も増えない。
だから順番としては、
まず価値を生み出す力を身につける。
次にお金を増やす力を学ぶ。
この流れの方が自然だと思う。
私が事業家集団で学んだことの中にも、今でも役に立っていることは多い。
もちろん反省点もある。
もっと冷静に判断するべきだったこともある。
熱量だけで突っ走ってしまったこともある。
遠回りした経験もある。
しかし、
人前で話す力。
初対面の人と関係を築く力。
目標を設定する力。
本を読む習慣。
学び続ける習慣。
行動する習慣。
お金について考える習慣。
これらは確実に今の自分に残っている。
もしあの経験がなければ、『金持ち父さん 貧乏父さん』も単なる投資本として読んで終わっていたかもしれない。
最近、「毎月15万円の自己投資は無駄だ。そのお金を全部インデックス投資した方がいい」という意見を見かけた。
数字だけを見るなら、その考え方は合理的かもしれない。
しかし人生は数字だけでは測れない。
実際に人は、資産額だけで幸せになるわけではない。
家族との時間。
仲間との時間。
挑戦した経験。
失敗から得た学び。
成長実感。
これらも人生の資産だからだ。
実際、資産1億円を達成したにもかかわらず、家族との関係を失ったという話もある。
お金を増やすことと、人生を豊かにすることは必ずしも同じではない。
だから私は、『金持ち父さん 貧乏父さん』を投資の本ではなく、生き方の本だと思っている。
そしてこの本から学ぶべきことは、
「株を買うこと」でも、
「人を勧誘すること」でもない。
まずは自分自身の価値を高めること。
学ぶこと。
行動すること。
価値を生み出すこと。
そして将来的に、自分が働かなくても収益を生み出す資産を持つこと。
その順番を理解することだ。
私は今でも、投資から入るより先に、ビジネスや自己成長から学ぶ方が現実的だと思っている。
なぜなら、人は知識だけでは変われないからだ。
継続する力も、挑戦する力も、失敗から立ち上がる力も必要になる。
そしてそれこそが、『金持ち父さん 貧乏父さん』が本当に伝えたかったメッセージなのではないかと私は思う。



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